腰痛は、基本的にお風呂に入っても問題ありませんし、正しい入浴法を行うことで腰痛の緩和にもつながります。
しかし、一部の腰痛タイプによってはかえって痛みを悪化させてしまう場合があるので、ご自分の腰痛がどのようなタイプか確認することが大切です。
そこで本記事では、
- お風呂が効果的な腰痛と良くない腰痛
- お風呂が効果的な理由
- 腰痛時の入浴方法
など、腰痛とお風呂の関係について説明します。
ギックリ腰や椎間板ヘルニアの急性期はお風呂で悪化
まずは、入浴を控えるべき腰痛を確認しておきましょう。
腰痛の特徴となる症状は、主に激痛や炎症を伴う腰痛です。
ギックリ腰(発症から1~2日の急性期)
ギックリ腰は、重いものを持ち上げた時や、急に腰を捻る動作をした時などに突発期に発症する急性腰痛の一つです。
ちょっとした動きで動けなくなるほどの激痛が走り、さらに重度の場合は、腹部や下肢にしびれ・痛みが伴います。
発症してから1~2日(急性期)は筋肉が炎症している場合が多く、「炎症」の文字の通り、組織が熱く燃えているような状態なので、温めることで痛みが増悪する可能性があります。ギックリ腰の初期には患部を冷やすことで痛みを和らげる措置がとられます。なので逆にお風呂に入って温めてしまうと血行が良くなりすぎて、炎症が進み、痛みが強くなってしまうことがあります。
ギックリ腰は程度によってすぐに動ける場合もありますが、念のため当日の入浴は控えた方が良いでしょう。
椎間板ヘルニアで起こる腰痛(急性期)
椎間板ヘルニアとは、椎骨の間にある軟骨(椎間板)が変性して後ろに突出して起こる病気です。突出した椎間板が神経や脊髄を圧迫して痛みやしびれ、腰痛などの症状が起こります。
急性期(痛みが激しい初期)の椎間板ヘルニアで起こる腰痛もお風呂に入るのはおすすめできません。理由はギックリ腰の場合と同じで患部を温めることで炎症を進めてしまう恐れがあるからです。
補足:【注意】激しい痛みを伴う場合は病院の受診が先決
先ほどのギックリ腰も含めて、激しい痛みを伴う腰痛はできるだけ早く病院を受診しましょう。
激痛を伴う腰痛はギックリ腰のような筋肉の炎症以外にも、がんの転移や感染症、骨折、内臓の病気など、重大な状態が隠れている場合もあります。
原因をはっきりさせたうえで、入浴について相談するのが理想的です。
お風呂が効果的な腰痛
前章で挙げたような激痛や炎症を伴う腰痛でなければ、基本的にお風呂に入っても問題はありません。
入浴のリラクゼーションや血行促進などの効果で腰痛の緩和にも期待できます。
例えば、入浴が効果的な腰痛は次のようなタイプです。
軽度の腰痛や慢性腰痛
- 腰痛はあるが日常生活に支障はない
- 運動後の軽い筋肉痛のような鈍痛
- 寒い時期になるとよく腰が痛む
- 普段から腰のコリや張り感があり、疲れると痛む
など、このような軽度の腰痛は、入浴をすることで痛みの緩和につながります。
また、慢性的(3ヶ月以上)に鈍痛が続く腰痛に悩まれている方にも入浴は効果的です。
腰痛が緩和する詳しいメカニズムは次章でご説明します。
生理中の腰痛
生理中に鈍痛を感じる女性特有の腰痛にも入浴は効果的です。
痛みの正体は、プロスタグランジンという生理活性物質による子宮や腰回りの血行不良が原因と考えられます。
そのため、からだを温め、血流を良くする入浴は生理中の腰痛をはじめ腹痛などにもおすすめです。
腰痛が風呂で楽になる理由は
なぜ、お風呂に入ると腰痛が楽になるのか気になりますよね?
その理由は、血流改善が大きく関わります。
そもそも先ほど挙げた入浴が効果的な腰痛は、血行不良によるものがほとんどです。
日常の疲労や運動不足、ストレス、冷えなどの影響で筋肉がコリ(=血流が悪く筋肉の柔軟性がなくなっている状態)、さらに負担をかけることで結果的に痛みが出ているのです。
そのため、お風呂に入ることで血流がスムーズになり、腰のコリや痛みの緩和につながると言われています。
また、入浴時はからだを休ませる自律神経(=副交感神経)が優位になるので、リラックス効果も期待できます。
腰痛時の入浴のポイント
お風呂は腰痛に効果的なのがわかったところで、本章では、腰痛で悩む方が入浴するときに覚えておきたいポイントをご紹介します。
お風呂の温度
腰痛緩和の効果を高めるには、十分にからだを温めることが重要です。
▼お風呂の温度と入浴時間の目安 (全身浴)
(半身浴)
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なお上記は、快眠のための入浴法として厚生労働省が推奨している目安です。
夜ぐっすり眠ることで、睡眠中の自然治癒力(=病気やケガを治そうとする力)も向上し、より腰痛改善につながります。
お風呂の椅子
腰痛の方は、からだを洗う時に座る椅子の高さもポイントです。
特に低い椅子に座っている場合は、立つ・座るの動作の中で腰に負担をかけることが増えたり、背中を丸めた猫背姿勢になったりしやすいため、腰には良くありません。
そのため、お風呂で椅子を使用する場合は、自分の膝と同じくらいの高さのものを選ぶのがおすすめです。
入浴後の注意
入浴後はせっかく温まったからだを冷やさないように、乾いたタオルでしっかり水分を拭き取りましょう。
また湯冷めを行採用に入浴剤を使うこともおすすめです。
特に冬場は、脱衣所や部屋を暖めておき、湯冷めしない格好で過ごしましょう。
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湯船の中でおすすめの腰痛ストレッチ
湯船の中は浮力で腰の負担が少なく、からだが温まることで筋肉が緩みやすいので、次のような腰痛ストレッチを取り入れるのもおすすめです。
腰捻りストレッチ
1. 湯船に浸かった状態で、上半身だけ左右どちらかに捻って浴槽のフチを掴み30秒キープする。
2. 反対側も同様に行う。
※上半身を捻るときは、お尻を動かさないようにしましょう。
リラックスしながら、無理のない範囲で続けてみてください。
※お風呂で行うストレッチは立ったままで行うと転倒するリスクもあり危険です。
湯舟の中で座ってふちや手すりにつかまって行いましょう。
まとめ
激しい痛みが伴う腰痛の場合は入浴を控えた方が無難ですが、それ以外の軽度な腰痛は入浴することで症状の緩和・改善に期待できます。
腰痛に効果的な入浴法をおさらいしましょう。
- 顔に汗をかく程度に、十分からだを温める
- お風呂の椅子の高さは低すぎないものを使用する
- 湯船で腰を捻るストレッチをすると効果的
- 入浴後は湯冷めしないように注意する
早速今夜から実践し、腰痛に悩まない日々を目指しましょう。
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名前 鍼灸師×ライター齋藤 未有 職業 フリーの鍼灸師、ライター プロフィール 鍼灸の国家資格を取得後、都内・千葉の鍼灸接骨院・女性専門院で
多くの臨床経験を経て独立。鍼灸治療の傍ら、健康・医療系の分野を
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